こんにちは!
UIデザイナーのYunyです。
この記事はこんな方に向けて書いています
- デザインに関心があり、日常のアプリやサイトの見方を少し変えてみたい方
- 「なぜこのデザインが使いやすいのか」を論理的に理解したい方
- AIがデザインに関わるこれからの時代に、何がスタンダードになるのかを知りたい方
日々の生活のなかで、とてもおしゃれなのに文字が小さくて読みにくいWebサイトや、どこを押せばいいのか迷ってしまうアプリに出会って、イライラした経験はありませんか?
「デザインは綺麗なのに、どうしてこんなに使いにくいの…!」
そんなふうに感じたこと、誰もが一度はあるのではないでしょうか。
一方で、初めて使うのになぜかサクサクと操作できるアプリもありますよね。この違いは一体どこから生まれるのでしょう。
実は、「配色やレイアウトが美しい」という見た目の要素だけでは、本当に使いやすい体験は作れません。
画面をきれいに整える作業がAIで代替されつつある今、これからのUI/UXデザインで本当に価値があるのは、「なぜそのボタンをそこに置くのか」という明確な理由と、行動全体を見渡して「使いやすさ」を設計する力です。
駆け出しの頃は、見た目のかっこよさやトレンド感ばかりを重視していた私ですが、ユーザーが本当に喜んでくれたのは「購入ボタンがすぐに見つかる」という実用的な改善でした。(Yuny)
今回は、これからのUI/UXデザインで求められる4つの「スタンダード」について、日常の例を交えながらお話しします!
1. 感覚ではなく「人間の行動」を基準にする

使いやすいUIには、人間の認知の仕組み(認知特性)に基づいた明確なルールが存在します。
例えば、目の前にドアがあったとします。そこに「取っ手」がついていれば、私たちは無意識に「手前に引く」という行動をとりますよね。デジタル画面でも同じように、「これは押せるボタンだ」と直感的に伝える工夫が必要です。
ボタンが「押せる」と心地よく直感できるのは、影の落ち方や余白の比率など、私たちの脳の疲れを下げる明確なルールが守られているからです。具体的には、以下のような考え方がデザインの根拠となっています。
- シグニファイア(操作の手がかり):ドアの取っ手のように、「どう操作すべきか」を形や影で直感的に伝えるサインのこと(※しばしば「アフォーダンス」と混同されますが、正確にはアフォーダンスを視覚的に伝える手がかりを指します)
- 認知負荷の軽減:選択肢を絞り込み、ユーザーが迷う時間をなくして脳の疲れを防ぐこと
- フィッツの法則:「目標が大きくて近いほど、早く正確に押せる」という身体的特性。スマホのよく使うボタンが画面下部にある理由もこれで論理的に説明できます。
- その他の役立つ心理法則:選択肢が多いほど迷いやすくなる「ヒックの法則」や、人は見慣れたデザインを好むという「ヤコブの法則」など、UIの裏側には数多くの法則が隠されています。
個人の「センス」に頼るのではなく、人間の脳や体の仕組みに合わせて設計することが、迷いのない体験につながるのですね。
2. 1つの画面だけでなく「使う前と後」まで考える

アプリやサイトを使っている瞬間だけでなく、生活の中での行動全体をデザインすることも、これからの重要なスタンダードです。
例えばECサイトのデザインをする場合、「購入ボタンを押しやすくする」だけでは不十分です。
商品がいつ届くかの通知タイミングや、実際に箱が届いて開けた時の体験まで含めた顧客体験(UX)全体を良くすることが、「またこのお店で買いたい」という気持ち(ロイヤルティ向上)につながります。
- 点の最適化:画面内のボタン配置や色使いを綺麗に整えること
- 線の最適化:アプリを開く前から、商品が届いた後までの「時間の流れ」全体を心地よくデザインすること
以前、同僚からあるECアプリの改善について聞いた話です。
画面の色を変えたりレイアウトを整えたりするよりも、「商品発送の通知を、ユーザーがスマホをゆっくり見やすい夕方の時間帯に送る」というアイデアの方が、結果的にアプリを開く回数を大きく引き上げたそうです。デザインとは「画面の中」だけで完結するものではないのだと、私自身もハッとさせられた出来事です。(Yuny)
3. 「誰でも使える」を特別なことではなく当たり前に
一部の人向けではなく、さまざまな状況にいる人が快適に使える設計が、これまで以上に求められています。
「アクセシビリティ」と聞くと、視力が弱い方などへの特別な配慮だと感じるかもしれません。
先日、晴れた日の屋外でスマホのマップを見ていた時のこと。日差しが強すぎて、薄いグレーで書かれた文字が全く読めず、道に迷ってしまったことがありました。(Yuny)
このように、「日差しが強くて画面が見えにくい」といった状況は誰の日常にも起こり得ます。
だからこそ、以下のような基準を守ることは、すべてのユーザーの使いやすさに直結します。
- 状況的制約の解消:屋外の日差しや、揺れる電車内など、一時的に使いにくい状況を想定して画面を作る
- コントラストの確保:WCAG(ウェブアクセシビリティガイドライン)などの基準を満たし、文字と背景の明暗差をしっかりつけて読みやすくする
これは決して特別な対応ではなく、UI/UXデザインの「当たり前(スタンダード)」として最初から組み込むべき視点ではないでしょうか。
4. AIと共に「個別化(パーソナライズ)」された体験を作る

これからのスタンダードを語る上で、AIの存在は絶対に欠かせません!
AIは単に「きれいな画面を自動で作るツール」ではなく、ユーザー体験を根本から良くするための強力なパートナーになります。
これまでは、誰が使っても同じ画面が表示されるのが基本でした。しかしこれからは、AIがユーザーの過去の行動や現在の状況を分析し、一人ひとりに合わせてリアルタイムに画面を変化させる設計(アダプティブUIやパーソナライズ)が当たり前になっています。
実際に、私たちの身近なアプリでもAIによるUIの個別化は進んでいます。
- Netflixのサムネイル:ユーザーの視聴履歴をAIが分析し、同じ映画でも「恋愛映画好き」にはロマンチックなシーンを、「アクション好き」には激しいシーンをサムネイルとして表示させています。
- Duolingo(語学学習アプリ):ユーザーの得意・不得意をAIがリアルタイムに学習し、一人ひとりの習熟度に合わせて問題の難易度や出題形式を動的に変化させることで、最適な学習体験を提供しています。
- 業務ツール(SaaS)のダッシュボード:初心者には「丁寧なガイド付きのシンプルな画面」を、熟練者には「ショートカットが並んだ高度な画面」を自動で出し分けるツールも登場しています。
つまり、これからのデザイナーは「固定された1つの正解の画面」を作るのではなく、「AIがユーザーをどう理解し、どう画面を変化させるべきか」というルールそのものを設計する役割へと進化していくのですね。
まとめ:成果をデザインし、明日からの視点を変える
使いやすいアプリには、必ず「なぜそうなっているのか」という理由があります。
これからスマートフォンを使うとき、「このボタンがここにあるのは、親指で押しやすくするためかな」「この色なのは、外でも見やすくするためかな」と、少しだけ視点を変えてみてください。
UI/UXデザインの本当の面白さは、そんな「作り手の小さな工夫」に気づくところにあります。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
テクノロジーがどれほど進化し、AIがきれいな画面を作れるようになっても、デザインの根底にあるのは「使う人への思いやり」です。
明日スマートフォンを開いたとき、その画面の向こう側にある配慮に、少しだけ目を向けてみてもらえると嬉しいです。
これからも、心地よいデザインの探求を一緒に楽しんでいきましょう。
それでは、良いデザインライフを!
