こんにちは!UIデザイナーのYunyです。
- トレンドのUIを単なる装飾ではなく、論理的に情報設計へ落とし込みたい方
- Figmaでの実務において、複雑な情報のレイアウト整理に悩んでいる方
- Bento Gridの効果的な使い所と、避けるべき場面を正確に知りたい方
以前の記事「Bentoグリッド(Bento UI)とは?」では、レイアウトをすっきり整理するための基本的な作り方について解説しました。
今回はそこからさらに一歩踏み込み、より複雑な実務環境で私が直面した課題についてお話しします。
先日、FigmaでBento Gridを取り入れたダッシュボード画面を組んでいました。
ダミーテキストを入れている段階では要素が綺麗に収まっていたのですが、実際のデータや文字数の違うテキストを流し込んだところ、セルの高さがバラバラになり、レイアウトが崩れてしまいました。
さらにモバイルサイズに落とし込む際、単純に要素を縦積みするとスクロールが長くなりすぎてしまい、使い勝手が悪くなるという問題にも直面しました。
この経験から、Bento Gridを実務で使うには「見た目の綺麗さ」だけではなく、「情報の優先順位」と「可変のルール」を厳密に設計しなければならないと痛感しました。
今回は、この実体験から学んだ教訓をもとに、2026年におけるBento Gridの進化と、その戦略的な実装方法について詳しく解説していきます。
界隈で話題の「Bento Grid 2.0」とは?装飾から戦略的ツールへの進化
結論からお伝えします。
最近、海外のデザインコミュニティなどを中心に「Bento Grid 2.0」というワードをよく目にするようになりました。これは単に「四角いカードを並べるレイアウトが流行っている」という過去のトレンドを指す言葉ではありません。
2026年現在、Bento Grid 2.0は、ただカードを羅列しただけの装飾的なUIを脱却し、情報をモジュール化し、ユーザーの認知疲労を減らすための強力な情報設計ツールへと進化しています。
過去数年間のBento Gridは、どのような情報でも均等な四角形に押し込めるような、いわゆる「カードの壁」になりがちでした。
しかし現在のトレンドは、すべての情報をただ羅列する「データダンプ(データのゴミ捨て場)」を明確に否定しています。
代わりに求められているのは、ユーザーが必要な情報を瞬時に見つけ出せるよう、高度に編集された体験を提供する「Anti-Dashboard」のアプローチです。
単にデータを並べるのではなく、ユーザーの視線を適切に誘導し、複雑な情報を直感的に理解させる。
それが、私たちが目指すべきBento Grid 2.0の本当の姿です。
ただの四角形を脱却する3つの進化ポイント
では、具体的にBento Gridはどのように進化したのでしょうか。
実務で取り入れる際に意識すべき、3つの重要なポイントを整理してみましょう。
1. 情報設計の要:意図的なサイジングによる視覚的階層(Visual Hierarchy)
最大の進化は、セルのサイズをコンテンツの重要度に応じて意図的に変えるようになった点です。
すべてのセルを同じ大きさに揃えるのではなく、ユーザーに一番見せたい主要な数値やアクションには大きなセルを割り当てます。
例えば、あるSaaSのダッシュボードを設計する際、最も重要な「本日の売上」は2カラム分の大きなセルを使用し、過去の推移グラフを大きく表示します。
逆に、優先度の低い「お知らせ」や「ヘルプへのリンク」は1カラムの小さなセルに収めます。
つまり、セルのサイズはコンテンツの価値によって「獲得」されるべきなのです。
この強弱をつけることで、ユーザーの視線は自然と大きな要素から小さな要素へと流れ、迷うことなく情報をスキャンできるようになります。

2. UX/UI体験を向上させる触覚的で親しみやすい美学(Tactile Aesthetics)
2026年のBento Gridは、非常に触覚的で、ユーザーが思わず触れたくなるような親しみやすさを持っています。
具体的には、角丸(border-radius)を強めに設定し、各タイルの中に細かなマイクロインタラクションを仕込むのが主流です。
かつてのフラットすぎるデザインへの反動から、現在はボタンを押した時の「ぷにっ」とした感触や、ホバーした時にセルが少し浮き上がるようなSoft UI(ソフトUI)の要素が取り入れられています。
Appleのコントロールセンターのように、静的なカードをただ並べるのではなく、指先の操作に追従して滑らかに動く工夫を凝らします。
このような柔らかいアプローチを取り入れることで、無機質になりがちなダッシュボードに「アプリのような心地よさ」を付加することができます。
3. ダッシュボードの単調さを防ぐ情報のキュレーションとメリハリ
単調な「カードの壁」を避けるためには、セルの中身に多様性を持たせることが不可欠です。
テキストだけのセル、大きな画像が配置されたセル、グラフやチャートが動的に表示されるセルなど、異なるフォーマットを意図的に混在させます。
これにより、画面全体に豊かなリズムが生まれ、ユーザーは飽きることなく情報を読み進めることができます。
単に情報を詰め込むのではなく、雑誌の編集者のように「どの情報をどう見せるか」をキュレーションする視点が求められています。
優れたBento Gridは、余白(ネガティブスペース)を十分に活用し、要素同士が窮屈にならないように計算して配置されています。

Figmaでの実践:可変ルールと優先順位の壁
ここからは、私が実際にFigmaで直面した課題と、その解決策について深く掘り下げてお話しします。
Bento Gridを組む際、私たちは当然のようにオートレイアウト(Auto Layout)機能を使います。
しかし、ここで多くのデザイナーが壁にぶつかります。
それは、画面幅が狭くなった時(レスポンシブ対応時)の挙動です。
PCサイズでは横に並んでいた美しいセルを、モバイルサイズで単純に「Fill container」の設定で縦に積み重ねてしまうと、重要ではない情報までが画面いっぱいに表示され、ユーザーは延々とスクロールを強いられることになります。
この問題を解決するためには、モバイル表示時には「情報を引く(隠す)」という大胆な決断が必要です。
例えば、PCでは常時表示しているグラフの詳細データを、モバイルではアコーディオンの中に格納したり、重要度の低いセル自体を非表示にしてハンバーガーメニュー内に移動させたりします。
つまり、Figma上でコンポーネントを作る前に、「どの画面サイズで、どの情報を最優先で届けるか」というブレない軸を持っておくことが、レイアウト崩壊を防ぐ唯一の方法なのです。
デザインシステムを構築する際にも、ブレイクポイントごとのセルの振る舞い(スタックさせるか、隠すか、カルーセルにするか)を明確に定義しておくことが非常に重要になります。

Bento Gridが活きる場面、避けるべき場面
最後に、Bento Gridを実際のプロジェクトに導入する際の判断基準についてまとめます。
どんなに優れたレイアウト手法でも、使いどころを間違えればユーザー体験を大きく損なってしまいます。
最適なケース:順不同で比較・スキャンしたい場合
Bento Gridが最も効果を発揮するのは、以下のような画面です。
- ダッシュボード(様々な数値を同時に見せたい)
- ポートフォリオ(異なるフォーマットの作品を一覧させたい)
- SaaS製品の機能紹介ページ(複数のメリットをスキャンさせたい)
これらの画面では、ユーザーは情報を上から順番に読むのではなく、自分に必要な情報を拾い読み(スキャン)します。
情報を明確なブロックごとに区切ることで、「ここは自分に関係がある」「ここは飛ばしていい」と瞬時に判断でき、認知の負担が大きく軽減されます。
避けるべきケース:一本道のリニアなフローが求められる場合
一方で、以下のような場面には絶対に適していません。
- ECサイトのチェックアウト(決済)フロー
- マルチステップの入力フォーム
- 規約の同意画面など、確実に順番に読ませたいフロー
このような場面では、ユーザーに「次はこれを入力し、その次はこれを確認する」という明確な一本道(リニアなフロー)を提示する必要があります。
そこにBento Gridのような複数方向へ視線が散るレイアウトを持ち込むと、ユーザーは「次にどこを見ればいいのか」迷ってしまい、離脱率の増加に直結します。
目的達成に向けて集中させるべき画面では、装飾的なグリッドは排除し、シンプルなシングルカラムに徹するべきです。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
2026年のBento Gridは、単なるビジュアルの流行を越え、複雑な情報を整理するための確固たる情報設計のフレームワークになりました。
「見た目が綺麗だから」という理由だけで採用するのではなく、その背景にある「ユーザーの認知負担を減らす」という本質的な目的を理解することが何よりも大切です。
日々のFigmaでの作業でも、常に情報の優先順位を問いかけながら、意図を持ったレイアウト設計を心がけていきたいですね。
これからも、論理的で心地よいUX/UIデザインを一緒に楽しんでいきましょう。
それでは、良いデザインライフを!



