こんにちは!UIデザイナーのYunyです。
「イラレとフォトショ、結局どっちから学べばいいの?」という疑問は、デザインを学び始めた頃に誰もが一度は直面するテーマです。
自分自身もデザインを始めた当初は2つのソフトの明確な境界線が掴めず、手探りでツールを切り替えていた時期がありました。
特にWebやUI制作の現場ではFigmaが標準ツールとなった現代だからこそ、Adobeソフトに求められる役割も大きく変化しています。
この記事では、現代の制作現場におけるIllustratorとPhotoshopの実践的な使い分け基準と、Figmaと組み合わせた作業フローを整理して解説します。
- イラレとフォトショの根本的な違いや得意分野を整理したい方
- 現代のWeb/UIデザイン制作で2つのツールをどう使い分けるか知りたい方
- 自分の制作目的に合わせてどちらから優先して学ぶべきか判断したい方
- 1. 結論:現代のWeb/UI制作現場における4ツールの役割分担
- 2. 根本的なデータ構造の違い:ベクターとビットマップ(ラスター)
- Illustrator:数式で描く「ベクターデータ」
- Photoshop:画素の集合で描く「ビットマップデータ(ラスター)」
- 3. 作業別・制作物別の実践使い分け基準
- ① ロゴ・アイコン・SVGパーツ制作:Illustrator一択
- ② 写真レタッチ・色調補正・背景切り抜き:Photoshop一択
- ③ Webバナー制作:素材の主役に合わせて使い分ける
- ④ チラシ・名刺・パンフレットなどの印刷物:Illustratorが基本
- 4. 現役UIデザイナーの実践ワークフロー:Figmaとのデータ連携
- ステップ1:Photoshopで写真素材の下ごしらえを行う
- ステップ2:Illustratorで複雑なベクターパーツを作る
- ステップ3:Figma上でUIレイアウトとコンポーネント化を進める
- 5. 初心者はどっちを先に学ぶべき?目的別のロードマップ
- Webサイト制作・UIデザイナーを目指す場合:Photoshop + Figma
- ロゴ・ブランディング・グラフィック全般を目指す場合:Illustrator
- 6. まとめ:制作の目的に合わせて片方ずつ使いこなそう
- 次のステップ:あわせて深掘りしたい知見
1. 結論:現代のWeb/UI制作現場における4ツールの役割分担
現代のWeb/UI制作では、画面設計とレイアウトの母艦はFigma、ロゴやベクターパーツの作成はIllustrator、写真の精密な補正・合成はPhotoshopと役割を分担するのが実務基準です。素材をゼロから作るならIllustrator、写真素材を加工するならPhotoshopから学び始めると迷いません。
かつてWebデザインといえば、PhotoshopやIllustratorで画面全体をデザインしてコーダーへ引き渡すスタイルが主流でした。
しかし現在では、WebサイトやアプリのUI設計、プロトタイプ制作、デザインシステムの管理はFigmaが一手に担う環境が定着しています。
そのため、現代のWebデザイナーにとってIllustratorとPhotoshopは画面全体を組むソフトではなく、「Figmaに配置する高品位な素材を作るための専門ツール」という位置づけにシフトしています。
さらに近年ではAdobe Fireflyなどの生成AI機能も統合され、ツールの得意分野はより明確に分かれています。
| ツール名 | 得意な作業領域 | 主な制作物・出力形式 | Web/UI実務での位置づけ |
|---|---|---|---|
| Figma | 画面レイアウト・UI設計・プロトタイプ | Web画面、アプリUI、コンポーネント | 制作の母艦ツール(全体の組み立て) |
| Illustrator | ベクターグラフィック・図形作成 | ロゴ、SVGアイコン、幾何学図形、印刷物 | 劣化しないベクター素材の制作 |
| Photoshop | 写真レタッチ・色調補正・ビジュアル合成 | 商品写真、キービジュアル、WebP/PNG画像 | ピクセル単位の写真補正・合成 |
| Adobe Firefly | 生成AIによる素材生成・背景拡張 | テクスチャ素材、生成塗りつぶし画像 | Photoshop/Illustrator内の制作補助 |
このように各ツールの役割を理解しておくと、無駄な迷いや手戻りを大幅に減らせます。
まずは制作のベースとなるデータ構造の違いから順に確認していきましょう。
2. 根本的なデータ構造の違い:ベクターとビットマップ(ラスター)
IllustratorとPhotoshopの最大の違いは、取り扱う画像データの根本的な構造にあります。
この仕組みを把握することが、適切なツール選びの土台になります。
Illustrator:数式で描く「ベクターデータ」
Illustratorで作成するデータはベクター形式(Vector)です。
点(アンカーポイント)とそれらを結ぶ線(パス)、曲線の曲がり具合を数式として記録してグラフィックを描画します。
数式で描画しているため、どれだけ拡大・縮小しても画質が一切劣化しないという強力なメリットを持っています。
名刺に載せる小さなシンボルマークから街頭の大型看板まで、同じデータを引き伸ばして利用できるのはこの特性によるものです。
Web実装においてもSVG(Scalable Vector Graphics)としてコード出力できるため、高解像度ディスプレイでもボケないUIパーツを作ることができます。
幾何学的な図形や文字をミリ単位で整列させる作業に最も適した環境です。
Photoshop:画素の集合で描く「ビットマップデータ(ラスター)」
Photoshopが扱うデータはビットマップ形式(ラスター形式)です。
方眼紙のマス目のような小さな正方形(ピクセル)の集合体として画像を表現します。
1マスごとに色情報を持たせることができるため、写真のような複雑な階調や微妙な光のグラデーションをリアルに再現できます。
一眼レフで撮影した写真データやスマートフォンのカメラ画像はすべてこの形式です。
ただし、ピクセルの数が固定されているため、元のサイズ以上に無理に拡大すると輪郭が階段状にギザギザ(ジャギー)になるという弱点があります。
そのため、Web用バナーやビジュアルを作成する際は、仕上がり寸法や解像度(ppi)を事前に想定してカンバスを作る必要があります。
| 比較項目 | Illustrator(ベクター) | Photoshop(ビットマップ) |
|---|---|---|
| データ構造 | 座標と数式による計算描画 | ピクセル(画素)のグリッド集合体 |
| 拡大・縮小 | 無制限に拡大可能(劣化ゼロ) | 拡大すると粗くなり劣化する(ジャギー発生) |
| 得意な表現 | ロゴ、アイコン、図形、幾何学模様、文字組み | 写真の色調補正、陰影のボケ足、肌の質感修正 |
| 主な書き出し形式 | SVG, AI, EPS, PDF | JPEG, PNG, WebP, PSD |
| Web実装への親和性 | SVGコードとしてCSS操作やアニメーション可能 | Web用画像として書き出して軽量化配信 |
3. 作業別・制作物別の実践使い分け基準
データ構造の違いを踏まえると、日々の制作物ごとにどちらのソフトを開くべきかが明確になります。
現場で頻出する4つの代表的な制作シーンから、それぞれの使い分け基準を整理します。
① ロゴ・アイコン・SVGパーツ制作:Illustrator一択
ブランドの顔となるロゴデザインや、UIで繰り返し使用するアイコンは必ずIllustratorで作成します。
ロゴはWebサイトのヘッダーだけでなく、名刺、パンフレット、屋外看板、グッズ展開まで多種多様なサイズで使われるためです。
Photoshopで作ってしまうと、後から「大型ポスターで印刷したい」という要望が出た際に解像度不足で再作成の手戻りが発生します。
最初からベクター形式で作成しておけば、拡大縮小を繰り返しても常にくっきりとした品質を担保できます。
② 写真レタッチ・色調補正・背景切り抜き:Photoshop一択
ECサイトの商品写真の明るさ調整や、人物ポートレートの肌修正、背景の切り抜き作業はPhotoshopの独壇場です。
ピクセル単位で明度や彩度をコントロールできる調整レイヤーが豊富に揃っています。
特にPhotoshopの「レイヤーマスク」機能は、元の写真データを壊さずに何度でも切り抜き範囲を修正できる非破壊編集が強みです。
髪の毛の微細な輪郭抽出や、自然な影の合成などはIllustratorでは再現が難しいため、写真補正はPhotoshopで行うのが実務の鉄則です。
③ Webバナー制作:素材の主役に合わせて使い分ける
Web広告やサイト内のプロモーションバナーは、「デザインの主役が何か」によって使うソフトを切り替えます。
写真が主役のビジュアルか、文字やイラストが主役のビジュアルかで判断すると迷いません。
- 写真メインのバナー(Photoshop): 人物や料理、コスメなど写真のシズル感を押し出す場合は、光の調整やテクスチャ合成が得意なPhotoshopで仕上げます。
- グラフィック・タイポグラフィメインのバナー(Illustrator): 幾何学パターン、セール告知の大きな飾り文字、イラスト中心のバナーはIllustratorが扱いやすく向いています。
なお、最近の実務では「Photoshopで写真を切り抜き、Figma上でレイアウトしてバナーを書き出す」というハイブリッドな運用も増えています。
複数サイズのバナーを一括展開する際は、Figmaのコンポーネント機能を活用すると制作スピードを大きく高められます。
④ チラシ・名刺・パンフレットなどの印刷物:Illustratorが基本
Webだけでなく紙媒体の制作に関わる場合、印刷用データの作成はIllustratorが基本になります。
印刷会社が求める「トンボ(トリムマーク)」「塗り足し」「CMYKカラーモード」「フォントのアウトライン化」などの入稿仕様に完全対応しているためです。
Photoshopでも印刷用データは作成できますが、文字データがビットマップ化されて小さな文字のフチがぼやけるリスクがあります。
紙面の文字組みやレイアウトはIllustratorで行い、そこにPhotoshopで補正した写真をリンク配置するのがプロの現場の標準ワークフローです。
4. 現役UIデザイナーの実践ワークフロー:Figmaとのデータ連携
日々の案件で自分が実践している、「Figma × Illustrator × Photoshop」のスムーズな連携手順をご紹介します。
各ソフトの強みだけを組み合わせて制作を進めることで、作業時間を大きく圧縮できます。
ステップ1:Photoshopで写真素材の下ごしらえを行う
支給された商品写真や人物写真をPhotoshopで開き、まずはトーンカーブやカラーバランスでWebサイトのトーンに合わせた補正を行います。
被写体の切り抜きが必要な場合は「被写体を選択」やペンツールで正確にマスクを作成します。
余白が足りない画角の場合は、生成塗りつぶし(Generative Fill)機能を使って背景を自然に拡張しておくとレイアウトの自由度が上がります。
補正が完了したら、Web用画像(PNGやWebP形式)として書き出してFigmaのキャンバスへドラッグ&ドロップで配置します。
ステップ2:Illustratorで複雑なベクターパーツを作る
Figmaのペンツールでも簡易な図形は描けますが、パスの連結やオフセット、ブレンドツールなど高度な幾何学処理はIllustratorが圧倒的に得意です。
複雑なブランドシンボルやオリジナルの幾何学パターンは、Illustratorで作成します。
作成したベクターパーツは、Illustrator上で選択して Cmd + C(コピー)し、そのままFigma上で Cmd + V(ペースト)するだけで、ベクターパスを保持したまま一瞬でFigmaへ持ち込めます。
ファイル書き出しを挟まずにクリップボード経由でパスをやり取りできるため、実務で頻繁に重宝している連携技です。
※きれいにベクターとしてペーストするには、Illustratorの「環境設定 > クリップボードの処理」で「SVGコードを含める」が有効になっていることを確認してください。
ステップ3:Figma上でUIレイアウトとコンポーネント化を進める
持ち込んだ写真やSVGアイコンを配置し、Figmaのオートレイアウト機能を使ってボタンやカード、ナビゲーションを構造化します。
画面幅の伸縮に応じて余白が追従するレスポンシブなUIを組み上げていきます。
素材のパーツ作りをIllustratorとPhotoshopに任せ、全体の設計と組み立てをFigmaに集中させることで、ツールを行き来するストレスを最小限に抑えられます。
オートレイアウトの詳しいネスト手順については、あわせて以下の実践ガイドも参考にしてみてください。
5. 初心者はどっちを先に学ぶべき?目的別のロードマップ
「どちらも必要なのは分かったけれど、まずは1つに絞って勉強したい」という方向けに、将来目指す職種に応じた学習ロードマップを整理しました。
自分が進みたいキャリアの方向性に合わせて選択すると、学んだ知識をすぐに実務で活かせます。
Webサイト制作・UIデザイナーを目指す場合:Photoshop + Figma
WebデザインやUIデザインの現場に進みたい場合は、Photoshopの写真編集から入るのがスムーズです。
実際のWeb制作案件では「支給された写真の色味が暗い」「商品の背景を消してレイアウトしたい」という写真加工の需要が極めて高いためです。
Photoshopで写真の切り抜きや補正の基礎を覚えつつ、並行して無料から使えるFigmaでワイヤーフレームや画面設計の練習を始めるのが最も実戦的なロードマップになります。
アイコンなどのベクター素材は最初はフリー素材を活用し、自作が必要になった段階でIllustratorを学ぶ進め方で十分間に合います。
ロゴ・ブランディング・グラフィック全般を目指す場合:Illustrator
ロゴ制作、ポスター、名刺、パッケージなどグラフィック全般やブランディングに関わりたい場合は、迷わずIllustratorから学習を開始してください。
ベクターパスの扱い方やタイポグラフィの組み方は、デザイン造形の基礎体力となるためです。
ペンツールによる滑らかな曲線描画やアンカーポイントの操作に慣れておくと、将来的に3Dツールやモーショングラフィックス(After Effects)を学ぶ際にもパスの概念をスムーズに応用できます。
Illustratorで美しい造形が作れるようになってから、写真合成の表現力を高めるためにPhotoshopを学ぶ順番が自然です。
どちらからスタートする場合でも、Adobe Creative Cloudには無料体験版が用意されています。
チュートリアル動画を眺めるよりも、実際にソフトを触って簡単な図形や写真に触れてみることで、ツールの手触りや相性を直感的に把握できます。
6. まとめ:制作の目的に合わせて片方ずつ使いこなそう
IllustratorとPhotoshopの使い分けを一言で整理すると、「ゼロから作るか、素材を加工するか」という基準に行き着きます。
- Illustrator: ロゴ・アイコン・図形・印刷物など、劣化しないグラフィックを「ゼロから構築する」ソフト
- Photoshop: 写真補正・レタッチ・ビジュアル合成など、ビットマップ画像を「精密に加工・仕上げる」ソフト
最初から両方のソフトの全機能をマスターしようとする必要はまったくありません。
「バナー用の商品写真をきれいにしたいからPhotoshopを触ってみる」「オリジナルのロゴを描きたいからIllustratorのペンツールを試してみる」のように、目の前の制作物に必要な機能から1つずつ手を広げていくのが挫折しないコツです。
現代のWeb/UI制作ではFigmaという頼もしい母艦があるからこそ、各ソフトの得意な役割を理解し、制作の幅を広げる手段として活用していきましょう。
それでは、良いデザインライフを!
次のステップ:あわせて深掘りしたい知見
WebデザイナーがIllustratorを実務で扱う際に役立つ切り抜きや整列の便利機能については、以下の記事で詳しく解説しています。
スマートガイドやトリミング表示をマスターすることで、日々の作業スピードをさらに高められます。




