こんにちは!UIデザイナーのYunyです。
- UX/UIデザイナーとしての就職・転職を考えている方
- ポートフォリオの書類通過率に悩んでいる方
- 自分のデザインプロセスを論理的に言語化して伝えたい方
少し前に転職をしました。その際、自分のスキルセットを伝えるためのポートフォリオをFigmaで作る機会があり、そこから様々な学びや気づきを得ました。
過去の自分は、Figmaのキャンバス上に「とにかく見栄えの良い、綺麗なモックアップ」を並べることに必死でした。
しかし、いざ面接に進むと、採用担当者から「なぜこのボタン配置にしたの?」「このレイアウトで解決したかった本質的な課題は何?」と鋭く問われ、うまく答えられずに選考を見送られるという苦い経験もしました。
しかし、その失敗から「採用担当者がポートフォリオで本当に見ているのは、完成したビジュアルの美しさだけではない」ことに気づき、ポートフォリオの構成を何度も修正していきました。
その結果、最終的には無事に希望の業界・企業から内定をいただくことができました。
今回は、この転職活動の中で自分が実際に経験し、学んだ「採用担当者の目に留まるためのポートフォリオの構築戦略と評価基準」についてまとめていきます。
- なぜ「綺麗なUI」だけでは落ちるのか?採用担当者が見ている3つの評価基準
- 評価軸1:論理的な問題解決能力(プロセスの一貫性)
- 評価軸2:UX/UIの基本スキル(情報設計とアクセシビリティ)
- 評価軸3:アウトプットの裏側(振り返りと改善)
- 【注意】形式よりも「情報漏洩」に気をつける
- 説得力を最大化する「ケーススタディ」の鉄板構成
- 「課題 → 役割 → プロセス → 成果」の順で展開する
- Figmaを活用した泥臭いプロセスのドキュメンテーション
- AI時代にこそ光る「エンジニアとの協業・実装への配慮」
- ポートフォリオ自体が「最大のUX/UI作品」であるという視点
- 強弱(コントラスト)をつける情報設計
- 「採用担当者」というユーザーの体験(UX)を設計する
- 終わりに
なぜ「綺麗なUI」だけでは落ちるのか?採用担当者が見ている3つの評価基準
結論から言うと、UX/UIデザイナーのポートフォリオにおいて、ビジュアルの美しさは大前提の条件に過ぎません。
採用担当者はそれ以上に、「課題をどう発見し、どのようなプロセスを経て解決したか」という論理的な問題解決能力を厳しくチェックしています。
具体的に、採用担当者がポートフォリオのどこを見ているのか、3つの評価軸に分けて解説します。
評価軸1:論理的な問題解決能力(プロセスの一貫性)
最も重視されるのは、デザインに至るまでの根拠が論理的に言語化されているかどうかです。
ユーザー調査のインサイトやビジネス上の要件定義から始まり、それが最終的なUIの形状にどう落とし込まれているのか、一貫したストーリーが求められます。
転職活動初期の自分は、要件定義のプロセスを読み飛ばし、いきなり美しい完成画面だけを掲載していました。
すると面接では、「なぜここがユーザーの課題だと定義したのですか?」という前提部分を必ず突っ込まれ、説得力のある回答ができませんでした。
「なんとなく今風だから」ではなく、「このユーザー行動のデータを基に、このレイアウトを採用した」という明確なロジックを提示することが不可欠です。
※デザインの意図を言葉にするのが苦手な方は、『「なんとなく良い」を卒業する。デザインの意図を論理的に翻訳する「言語化力」の鍛え方』 の記事でも具体的なトレーニング方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
評価軸2:UX/UIの基本スキル(情報設計とアクセシビリティ)
2つ目は、デザイナーとしての基本的な基礎力です。
文字のジャンプ率、配色のコントラスト、要素のグルーピングといった、情報の整理が適切に行われているかが見られます。
これは、ポートフォリオに掲載している作品そのものへの評価だけでなく、ポートフォリオという媒体自体が読みやすく設計されているかという点にも直結します。
採用担当者は日々膨大な数のポートフォリオに目を通すため、テキストが小さすぎて読みにくい、情報が整理されておらず何を見せたいのかわからないポートフォリオは、その時点で「UX/UIへの配慮が足りない」と判断されてしまいます。
評価軸3:アウトプットの裏側(振り返りと改善)
3つ目は、自分自身の仕事を客観的に振り返る姿勢です。
完璧な成功事例だけを並べるのではなく、「意識したこと」「苦労した点」「もしやり直すならどう改善するか」といった、プロジェクトを通じた学びが記載されているかが評価を分けます。
実務においては、最初から一発で完璧なデザインを出せることはほぼありません。
没になったデザイン案をあえて掲載し、「なぜこの案は不採用になったのか」を説明することで、あなたの多角的な思考力や、失敗から学ぶ成長意欲を強くアピールすることができます。

【注意】形式よりも「情報漏洩」に気をつける
具体的な構成に入る前に、よくある「ポートフォリオの形式はどうすべきか?」という疑問にお答えします。
結論から言えば、特定のフォーマットにこだわる必要はありません。
PDFでまとめるのもよし、NotionやSTUDIO等でポートフォリオサイトを作るのもよし、FigmaのプロトタイプURLを直接共有する形でも構いません。
採用担当者にとって見やすく、あなたのスキルが的確に伝わるのであれば、どのツールを使っても大丈夫です。
それよりも絶対に注意すべきなのは、「社内秘・外部公開NGの案件」の取り扱いです。
NDA(秘密保持契約)を結んでいるプロジェクトの具体的な数値や、未公開の画面デザインをそのまま載せてしまうと、デザイナーとしての倫理観やリテラシーを疑われ、即座に不採用となるリスクがあります。
公開して良い範囲を必ず確認し、必要に応じてダミーデータに差し替える、企業名やロゴを伏せるなどの配慮を忘れないでください。
説得力を最大化する「ケーススタディ」の鉄板構成
採用担当者が求める情報を過不足なく伝えるためには、ポートフォリオ内の各プロジェクト(ケーススタディ)の書き方を型化することが有効です。
自分は転職活動の途中で、ケーススタディの構成を「結論(成果)ファーストの構成」に作り直したことで、面接官の反応が劇的に変わりました。
「課題 → 役割 → プロセス → 成果」の順で展開する
多忙な採用担当者の負担を減らすため、冒頭でプロジェクトの全体像を把握できるようにします。
- 成果と概要:「このUI刷新により、コンバージョン率が〇〇%向上した」といった定量的な成果や、最終的なインパクトを最初に提示します。もし既存画面のリニューアル案件など、Before/Afterの対比が重要なプロジェクトであれば、ここで新旧の画面を横並びで視覚的に比較させておくと、テキストを読まなくとも一瞬で改善度が伝わります。
- 課題と役割:誰のどんな課題を解決するためのプロジェクトだったのか。そして、自分がどの範囲(要件定義、ワイヤーフレーム、ビジュアル作成など)を担当したのかを明記します。
- プロセスと根拠:リサーチ結果や、情報設計の意図、A/Bテストの詳細な数値などを具体的に詳述します。
Figmaを活用した泥臭いプロセスのドキュメンテーション
完成した綺麗なモックアップだけでは、あなたの「思考の深さ」は伝わりません。
Figmaのキャンバス上に残ったコメントのやり取り、ホワイトボードに殴り書きした情報設計のメモ、ユーザビリティテストでの失敗の記録など、実務のリアルな過程をスクリーンショットで掲載することをおすすめします。
自分はポートフォリオをFigmaでまとめる際、あえて「プロトタイプ作成時の試行錯誤のレイヤー」や「エンジニアとのすり合わせのメモ」を可視化して配置しました。
これにより、単なるオペレーターではなく、自ら考えてプロジェクトを前に進められるデザイナーとしての適性を証明することができます。
AI時代にこそ光る「エンジニアとの協業・実装への配慮」
昨今、プロンプト一つでUIからコードを自然言語で組み立てる「Vibe Coding」のようなAI開発手法がトレンドになりつつあります。こうしたAIの時流においても、UIデザイナーに強く求められるのは「エンジニア(あるいはAI)が実装しやすい、論理的で構造化されたデータを作れるか」という視点です。
そのため、ケーススタディの中に「Figmaのコンポーネント設計をどう整理したか」「Auto Layoutや変数をどう定義して実装側に引き継いだか」といったエンジニアとの協業への配慮を含めると非常に効果的です。
「絵を描いて終わり」ではなく、モダンな開発フローの中でチームとスムーズに連携できるデザイナーであることを、力強くアピールできます。
エンジニアとのコミュニケーションやマインドセットの持ち方については、『AI時代におけるデザイナーとエンジニアの協働。デザインとコードが近づくことで変わる、私たちのマインドセット』 の記事でも詳しく深掘りしています。

ポートフォリオ自体が「最大のUX/UI作品」であるという視点
Figmaで自分のポートフォリオを作成・編集していて強く実感するのは、ポートフォリオという成果物そのものが、あなたのUX/UIデザインの力量を測る最大のテストであるということです。
強弱(コントラスト)をつける情報設計
自分の実績をすべて見てもらいたいという気持ちはわかりますが、情報のノイズを減らすこともデザインの重要なスキルです。
自分の強みや、応募する企業の求めるスキルセットに最も合致するプロジェクトを3〜5件程度に厳選し、一つひとつを深く掘り下げて解説する方が、圧倒的に採用担当者の記憶に残ります。
「どうしても他にも見せたい作品がたくさんある」という場合は、後半に「その他(Others)」というセクションを作り、細かい説明は省いて作品のスクリーンショットだけを並べるページを作っても良いでしょう。
見せたい3〜5件は強度を強く(重厚に)見せ、他は弱く見せる。
この「どこに注目させるか」の強弱(コントラスト)をつける情報設計こそが、まさにUX/UIデザインの基本です。
転職時の自分は、手当たり次第に掲載していたポートフォリオから、思い切ってUIデザインの3案件に強く絞ってメリハリをつけた結果、面接での対話が非常にスムーズになりました。

「採用担当者」というユーザーの体験(UX)を設計する
ポートフォリオを作る際、「自分が何を見せたいか」ばかりを優先するのではなく、「採用担当者(ユーザー)がどう閲覧するか」を想像することが不可欠です。
現場のデザイナーや採用担当者は、日々の業務の合間を縫って何十人ものポートフォリオに目を通しています。
そのため、「文字が小さすぎて読めない」「PDFのデータ容量が重すぎて開くのに時間がかかる」「リンク先への導線(ボタン)がわかりにくい」といった些細なユーザビリティの欠如は、そのまま「ユーザーへの配慮が足りないデザイナー」という評価に直結してしまいます。
余白の取り方、文字のジャンプ率、そして「読むという体験」の心地よさまでを含めて、ポートフォリオ全体を「一つのプロダクト」として磨き上げることが、結果的にあなたのデザインスキルの最大の証明となります。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
ポートフォリオ制作の際に、自分の過去のプロジェクトを整理する作業は、時に骨が折れますが、自分自身のデザインプロセスを客観的に見つめ直す非常に価値のある時間です。
過去の自分が行った意思決定の理由を一つひとつ紐解き、論理的な言葉を与えていくことで、実務における提案力も確実に引き上がります。
自分のこの失敗談と気付きが、皆さんのポートフォリオ作りのヒントになれば嬉しいです。
これからも、UX/UIデザインの学びを一緒に楽しんでいきましょう。
それでは、良いデザインライフを!



